「ソダテタ」の話をする前に、まず運営元となる株式会社エンジョイワークスさんの話をさせてもらおうと思います。福田さんが鎌倉で会社を立ち上げたきっかけ、これまでの軌跡を「育てる」をキーワードにお話しを伺いました

「楽しく働く」というワードがしっくり馴染む会社、エンジョイワークスは鎌倉駅にほど近い由比ヶ浜大通りに面して佇む。
13年前にこの会社を立ち上げた福田さん(代表取締役)は、当時住んでいた東京から湘南へ、職も住まいもリスタートする形でやってきた。

湘南を選んだ理由の一つは、子育てだった。
「当時住んでいた東京では、子どもにとっての生活スタイルが決まってしまっていて、これでいいのだろうかと思っていました。朝起きて学校に行き、塾に行って帰宅は夜9時。毎日決まった人と会うばかりで、新しく学べることの幅が狭い」
「その点僕が移り住んだ葉山は色んな大人がいて、海や山があって教わることがたくさんある。主体的に楽しく生活している人がたくさんいたんです」

ーつながりが多方向
実際に移り住んでみると、まさに「いろんな人」とつながった。
「僕が移り住んだ葉山もそうですけれど、逗子や鎌倉も昔ながらのコミュニティが続いていて、例えばお祭りとか子供会だとか。参加すると住人同士がつながって、どんどん知り合いが増えていく」
「海に出るとサーフィン仲間でつながって、実は仲の良いあの人とあの人が友だちだったり。いろんなレイヤーのコミュニティがある。東京にいたときよりそのつながり方が早くて濃い、それって暮らしていてすごく心地良いんですよね」

移住を機に職もリスタート。
街や人とのつながりがすでに作られていた鎌倉の地で、まちづくりを仕事として展開したいと考えた。
すでにソーシャルキャピタル(=社会・地域における人々の信頼関係や結びつき)のある場所を拠点とすることで、その場所が育ってきたプロセスを紐解き、他の場所にも展開できるのでは、と考えたからだ。
ビジネスとして「街」が育つ、「人」が育つプロセスにコミットすることになる。

「うちの社員は9割ほどが鎌倉・逗子・葉山エリアに住んでいて。
これは入社時にお願いしていることでもあるんだけど、このエリアで僕が感じたソーシャルキャピタルを社員にも感じて欲しいから」
「街を歩いていて声をかけてもらったり、おすそ分けしてもらったり、街のみんなで仲間になれている感覚って暮らしていて安心するじゃないですか。そういう感覚を体感してもらたいんですよね」

”街を知ってもらい、街の人との関係性を作る”ために、福田さんは社員と共によく街歩きをしているという。
新入社員たちを誘って海で遊んだり、仕事の合間に本気の(笑)柔術に興じることは社員たちとのコミュニケーションの一環でもある。
ー現在、エンジョイワークスの事業は?
主力事業は不動産業でありながら、建築、街づくり、施設運営、空き家再生などに積極的に取り組んでいる。

「みんなで一緒に」「楽しく」「地域全体で作る」「主体的に」「ジブンゴト」
プロジェクト全体でそんなワードがよく出現するのも、おそらく中で仕事をしている社員に楽しく仕事をしてもらうためだと感じるし(楽しいことだけじゃないにしても…)、もちろん外から見てもワクワクする取り組みがたくさんある。
外側の人が関わりやすい”きっかけ”を作ってくれている。

「不動産が好き」という人は少数でも、「家が好き」「自分が好きな空間を作りたい」「DIY好き」
そんな人は多いはず。
それを決して独りよがりではなく、地域住民やその地域に愛着がある人々と共創して作り上げていく、その”きっかけ”となるアイデアを豊富に用意してくれている。
ー街が育つためには、人も「育ち合う」ことが大事
福田さんに、普段どうやって社員を育てているのか?と問うとこんな答えが返ってきた
「僕自身がうちの社員を”個”で育てているという感覚はないですね。文句はよく言ってますけど(笑)。強いて言えば街の人やお客さまに"育てて"もらっているんじゃないかな」

「ただ事務的に不動産を仲介するのではなくて、なぜお客さまがそのエリアに興味を持って、どういう暮らしをしたいと思っているのか、一緒に見つけてあげて言語化することが重要だと伝えています」
「そのためにはどうしても密なコミュニケーションが必要になりますよね。その過程で社員もお客さまに育ててもらっているんじゃないかな」
遠藤さん(入社7年目)は福田さんから直接不動産業について学び、
育てられた社員の一人。彼女のすごいところは誰よりも友だちが多いことだという。
「不動産業のノウハウを直接伝えた人ってたぶん彼女しかいないんだけど、売り上げは上がっている上に、彼女はとにかく友だちが多い」
「僕の地元のお祭りでお神輿担いだり、元々僕の友だちだった人は今では彼女の方がよく会っていたりするんです(笑)街の人と友だちになることで地域に根付き、仕事上でもたくさん助けてもらっていると思う」

社員は街の人やお客さまが育ててくれている、もっと言うと外部の関係者や街の人、関わる全ての人に育ててもらっている。
そして関わる人が増えるほど、お客さま自身も多くのことを学んでいるようだ。
双方向で「育ち合う」ことで、その恩恵からお客さま自身が協力してくれることも増えている。
エンジョイワークスを通して土地を購入し、家を建てたりリノベーションをし完成した後、その後の暮らし方を見せてもらえる機会も多くなってきたという。
「今年はコロナ禍でできていないんですが、毎年秋にオープンハウスウィークエンドというのをやっています。お客さまが家を開放してくれて、そのエリアに興味を持っている未来のお客さまにリアルな生活を見せてくれる」
「すでに理想の暮らし方を実現している人が、これから実現したいと思っている人のために協力をしてくれる、そのスタンスが素晴らしいですよね」

未来のお客さまのために今までのお客さまが協力してくれる。
そんな関係性を築けているのも、積み上げてきた多方向コミュニケーションの産物であろう。
その街に住む人が、自分だけでなく他の人とも”心地良い暮らし”を作りたいというマインドを持つ。それが結果として、良い街づくりにつながっていくのだろうか。
「家って基本は”俺の城づくり”なんだけど、外から見たときに自分の家ってどうなんだろうって視点を持つことを大事にしたい」
「街の中での自分の家のあり方、例えば隣の家にとって配慮できているかとか、自分の家の前を歩く人が気持ちよく通れたらいいな、とか」
「そういう視点で家を作って暮らす人が増えていけば、必然と良い街になるような気がします。まさにみんなで育てていく理想の街づくりですよね」
ー自分の人生を主体的に生きたいと思うほど、自分一人ではそれができない
会社を立ち上げて13年経つ。
街づくりやコミュニティづくりを基軸にしたい、と意気込んで立ち上げた事業も当初はうまくいかず、これではまずい、と思ったことも多々あった。
「単なる不動産仲介だけじゃなくて、街やコミュニティに関わりたいと思って事業を立ち上げたけど、いざ始めてみると一人でやってもうまくいかないことの方が多い」
「初めこそ、一人でやってやるぞ!と意気込んでいたけど、結局気づくと老舗不動産の親父さんとか、元々ずっと住んで商売をしている人たちにいっぱい助けてもらった」
「仕事を始めてから、ギブ、ギブ、ギブ、それでやっとテイクという積み重ねの中で、結果的にビジネスが大きくなってここまで来た。これまで関わってくれた全ての人から、自分自身が育てられたという実感はめちゃくちゃありますね」
福田さん自身が"育て”られてきた経験が、事業のヴィジョン、ミッションをより強固なものとし、会社が大きく”育って”きた。
2017年2月にローンチしたプロジェクト「ハロー!RENOVATION」は、街づくり参加型のクラウドファウンディングサービスだ。
街づくりをジブンゴトとして考え、自分も周りの人もより豊かに暮らせる社会を実現したい、というのをメインヴィジョンに掲げている。
街で見過ごされている空き家や遊休不動産に焦点を当て、興味を持ったみんなでアイデアを出し合い、再生している。
「今回新しく初めるサービスの ”ソダテタ” は、”ハロー!RENOVATION” と目指しているものが同じかなと。普遍的な共感を集めて、みんなで応援するっていうところが。多様性を力に変えていく、そのきっかけづくりですよね」
ー「ソダテタ」というサービスについて
「 ”ソダテタ” の企画を初めに聞いた時に、みんなで応援するってところがいいなと。不動産とは全く関係ないんだけれど、対象が何であっても、みんなで応援して育てていくというのが事業ヴィジョンと合っている」
「ドキュメンタリーとして共有されるから万人に伝わりやすいし、共感を得やすいですよね」
頑張っている人や、明確なヴィジョンを持って行動している人が育っていく過程は、既存のクラウドサービスではなかなか可視化されていないところでもある。
「頑張っている人のドキュメントを我々で追って、みんなで応援できるプラットフォームを造る」
「不動産の会社ですが不動産関係なく応援したいし、ただシンプルに、頑張っている人を応援したい!と思う人がたくさん集まってほしいですね」

ー最後に、福田さんにとって「育てる」って一言で言うと何でしょうか?
「ここまでいろいろ話してきて思ったけど、”育てる”って感覚を持ってないなぁ(笑)あえて言うなら”育ち合い” ですね」
「子育てだって、親が子供を育てていると思われがちだけど、親も子供から育ててもらってますよね」
確かにその通り…
その人自身が育てている感覚を持っていなくとも、
明確なヴィジョンを持ち行動している人の側で、育てられている人もいる。
良い街が出来ていったり、たくさんのコミュニティが生まれたり、その過程には、育ち合うということが重要なのだと気づかされました。
「ソダテタ」では、そんな”育ち合い” の過程をじっくり急がず、物語として紡いでいきたいと思います。
物語の主人公が大物になってから過去にさかのぼり物語にしていくのではなく、今、まさに育っていく過程を物語にしたいのです。
みなさんぜひ、今頑張っている主人公を応援してください。
そして、「ソダテタ」というサービス自身を応援してください。
末長く「ソダテタ」をよろしくお願いします。
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