65歳以上に特化した賃貸情報サイト『R65不動産』を運営する山本さんが自分ごととして作る未来。

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今のコロナ禍でもそうですが、緊急時や社会情勢がよくない時に
どうしてもしわ寄せがいきやすいのがいわゆる社会的弱者と言われる人々。
そんな人々の衣食住の住、つまり家、住居である不動産に関して、
自分ごととして、志を持ってサービスを提供している山本遼さんのお話です。

 

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山本僚さんはいわゆる不動産会社の代表でもあるのですが、同時に「R65不動産」というサイトや「フリーランス不動産」という不動産メディアも運営しています。
それぞれ、「R65」は65歳以上の人たちと、フリーランンスの人が借りられる賃貸物件情報に特化した不動産情報サイトです。どちらも賃貸物件を借りる上で比較的不利な条件と言われる人々のための物件を扱っていて、その職務が大変だろう事をあらかじめ想定して事業を始めたであろう山本さんの言葉は、私が想定していたものよりも圧倒的に重いものでした。


「本当に、うちのスタッフの毎日の仕事ぶりを見ているといつも頭が下がります。今の日本で65歳以上の人の家を探すのがどれだけ難しいか…、彼らがどれだけお客さんの悲痛な思いを毎日受け止めているか…。お客さんはいろいろなところで散々断られて、それでうちに来てる人も多くて、中には電話口で涙を流されている方もいらっしゃいます」

「お客さんもつらいでしょうけど、おひとかたおひとかたのつらい思いを毎日のように引き受けて、それでも頑張って探してくれているうちのスタッフも相当しんどいわけです」

ーそれだけ大変な思いをすれど、当然法律で決められた仲介手数料以上の額を受け取っているわけではありません。志があっての上でなければ、到底続けていけないことだろう事は容易に想像がつきます。ここまで続けてくるのは相当な苦労があったのではないですか?

 

「大変でした。そして今も大変ですねぇ。でも、ここまでなんとかなってるのもみんなスタッフのおかげです。今のスタッフだけでなく、過去のスタッフにも相当迷惑をかけてきました。私の裁量に誤りがあって、給与も遅れた事があります」

「当然ですが、スタッフに滅茶苦茶怒られました。『支払いが遅れてもきちんとはらってくれるなら大丈夫です』って言ってくれたスタッフも居ましたが、事業である以上は経営者としてはやってはいけない事なので」

定年退職後に途端に借りづらくなるという


ー山本さんご本人も口座残高が800円くらいになったコトもあるそうですね。

「その当時のATMは千円単位でないとお金が下ろせなかったんですよね。なのでほぼ無一文でした。あの当時は金銭的にも精神的にも相当つらかったです。友達や周囲に救われました」

ーもともとは大学を卒業して不動産会社に勤務されていたそうですが、そこまでの苦労をして事業を立ち上げその後も継続しようと思った理由は何かあるんですか?

「ほんの少し未来を見据えた時に、R65不動産みたいな事をもう今からやらなきゃいけないんじゃないか?と思ったんですよね。まぁちょうどその頃、自分自身も(社会的なインパクトとして)面白い事をしたくなってたというのもあります。あと、正直自分自身の未来の事を一番に考えていますね。自分が老人になった時は、今以上に幸せな住環境を選択できるようにしてたいなと」

会社員時代の山本さん


ーなるほど、少子高齢化社会が既に到来している今、自分ごととして考えての事業だという事ですね。

「そうですね。賃貸物件を借りにくい人として、R65だけでなく同じように比較的物件を借りづらいフリーランスの人向けにとフリーランス不動産もやっているのですが、想定通りこちらも物件を探すのが比較的難しめではあるんですね。でも、それでもR65に比べると50倍は簡単ですよ。それくらいの状況にはもうすでになっているわけです。危機感はありますね」

ー社会問題を人任せや、先送りすることなく、自分ごととして捉えている事が伝わってきます。R65不動産へはどういった方からのお問い合わせが多いのでしょう?

「これまでずっと賃貸物件で暮らされて、建物の老朽化なんかでの取り壊し退去で物件を探されている方とか、ライフステージが変わり自宅を売却して賃貸物件への住み替えを検討されている方とかですね。マンションの住み込み管理人だったご夫婦が、引退されて退去時に困ってるなんて事もあります」

(R65不動産の資料より転載)未来の問題ではなく、もうすでにそこにある問題だということ。


ーお話しを伺っている感じですと、『予算がない、家賃が払えないから借りることができない』というわけでもなさそうですね。

「そうなんです。家賃で言うとみなさん平均的には月々8万円くらい、高額な方で言うと18万円くらいを予定されている感じでどちらかと言えば余裕がある方が多いです。場所で言うとやはり人気の東京23区の西側、杉並や世田谷で探してる人が多いですが、それだけの予算があれば物件を借りられておかしくないのですが…」

ーそれでも借りられないんですか?

「ええ。当然、物件がないわけではないんですが、なかなかニーズとマッチしないんです。大家さんからすると、若い人に入ってもらえるような物件にわざわざ高齢者に入ってもらわなくても、と。大家さんがそう考える気持ちも分かるんです。分かるんですけど、ね」

「まぁそれでも年齢が高いだけなら比較的容易なのですが、保証人がいない場合はかなり難しくなります。保証人が居ない人向けに保証会社という仕組みもあるのですが、こちらも年齢が高いと入れない場合が多くなってきます」

登壇してお話しさせてもらう機会も


ー高齢者は高リスクだと?

「そうですね。若者に比べて高齢者は病気や事故、それに認知症などのリスクが見えやすいという事があります。何かあった時の保証も当然そうですし、でもそれ以上に緊急連絡先がないといざと言う時に困るだろうと」

「保証会社も同様に、緊急連絡先がないという理由で入れない事が多いです。なので、保証人がいなくっても大丈夫ですよ、って言ってくださる大家さんと出会えると本当に救われた気になります。最近はそういう方が少しずつですが増えてきてくださっていてありがたいのですが、今は郊外の大家さんが多く都心はまだまだ難しいですね」

ーそういった借りにくさに対して、R65不動産では何か対策をとられているのですか?

「はい、R65不動産ではメディアとしての運営だけでなく『みまもりサービス』や『保険メニュー』などの付帯サービスを作っていっていて、全国で提携してくれている30社くらいの皆さんが代理店としてサービス提供してくれています」

「みまもりサービスでは電気の使用量に変化がない場合や異常な変化の際に、管理会社や保証人など任意に指定された連絡先に自動で連絡が行くようになっていて、問題になる前にできるだけ対応できるようにしています。幸い、いまのところ特別な事は起こっていないのですが、今後もできる限りアップデートしていきたいと考えています」

(R65不動産の資料より転載)安心を増やして行くメニューの開発も行っている。


ーすでにサービスを全国展開されているんですね。

「まだ”全国”とまでは言えませんが、ありがたいことに17都道府県で30社ほどご協力いただいて、サービス展開させていただいています。やはり人は住みたいところにできるだけ自由に住める方が幸せだと思うんです。『希望の場所で借りられないなら借りられる所で住めば良いのに』と言う人もおられます。それもまぁ分かるんですが、でもそれを言い出したらもう…終わりだと思うんです」

「私自身もそうですけど、いつか今よりももっと多くの人が行く道です。なので、今は本当に大変ですがR65という概念というか名称がなくなる所まで頑張っていきたいなと思っています」

ーなるほど、本当に自由に借りられる時がやって来ると、R65をわざわざ名乗る必要がなくなりますものね。そんな未来に向けた今後の展望はどのようになっていますか?

 

「今年は体制を強化していきたいと思っていて、昨年末にプレスリリースも出させていただきました。お伝えできるようになればまたお知らせさせてください。それと、もうこれだけ入居可能な物件がないなら、自分たちで物件を作ろうか?と考えていて、トレーラーハウスをそろえるか?とか考えたのですけど、現実的な問題を色々考えていった結果、マンションを一棟買おうかと。もちろん、それだけで全てが解決するわけではないですが、少しでもマシになるかな?と思って」

テレビや各誌面に取り上げられる事も多い。


ーそれは大きな投資も含めてチャレンジの年になるわけですね。

「ええ、今もシェアハウス事業やなんやかんやで毎年1000万円近くの投資をしている状態なのでそれを集約して、投資メニューも整えて、なんとか世田谷か杉並で買いたいなと。私自身の給料は未だほとんど支払われずの状況ですけど頑張っていきたいなと」

ーご自身の給料はなしで年間1000万円の投資しているんですか?生活は大丈夫ですか?

「いまシェアハウスを15棟運営しているのですけど、そこに住んでいるのでお金があまりかからないので大丈夫です。うちのシェアハウスに入ってくれている人はみんないい人ばかりで、少し困ってる事があると助けてくれるし、美味しいご飯を振る舞ってくれる事も多くて嬉しいし美味しいしで、案外と楽しく暮らしています。それは私だけでなく、他の入居者さんも同じように感じてくれているようで、空き部屋が出てもいつも住人からの口コミで入居してくれる感じになっています」

入居者のみなさん、助け合い楽しませ合い暮らしているそうです。



ー入居者が入居者を呼ぶという事ですね。シェアハウス事業も興味深そうですね。

「ええ、うちは不動産事業とシェアハウス事業がそれぞれ補い合いながら進んでいる感じです。このコロナ禍で、学校や仕事でのコミュニケーションが極端に減っているというのもあって、学生さんや新卒の社会人さんなんかは特にうちみたいなシェアハウスに住まわれるのはとてもいいと思います。楽しいからっていうのもありますが、僕もそうですけど、変な大人がいっぱい居ますからね。自分の目でそういう人たちを見て考えて人生に生かしてくれたらいいんじゃないかなと思っています」

 

新しいシェアハウスの床貼りを皆で楽しんで行う。

 

ーなるほど!シェアハウスは今の自分ごととして楽しい住環境をつくり、R65では将来の自分ごととしてのより良い住環境を作るというわけですね。シェアハウスのお話も引き続きご紹介させていただきたいのですが、ちょっとボリューム的に書ききれなくなりますので、ひとまずシェアハウスのお話はいったんここでしめさせていただいて、続編でご紹介させてください。
そして応援内容なのですが、どうしましょう。

「応援していただけるのは嬉しいのですが、これからマンション購入用に作る投資メニューや各種法律との兼ね合いもあるので、そういうのと関わって来ないような内容でお願いできると嬉しいです」

ーなるほど、ではそういう部分へのお金は別で集めていただくとして、今回は山本さんのこれらの活動全体に対しての応援という事で、考えてみます。では一旦ここまででしめさせていただきたいと思います。山本さん、今日はお忙しいなかどうもありがとうございました!

 

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不動産は暮らしの根幹を支える大事な要素の一つです。
幸福度を左右すると言っても過言ではありません。
皆さんも自分ごととして山本さんを応援してみませんか?
応援への最大のリターンは山本さんがソダッタあとの未来です。

 

<R65不動産>

https://r65.info/

<フリーランス不動産>

https://www.sohorent.space/

この記事のディレクター

アーティスト/マドリスト/プランナー/うどんの人

森岡 友樹

ちょっとおせっかいなくらいでちょうどいい。

#東京 #不動産 #高齢化 #社会的弱者

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